The Arbinger Institute

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□アービンジャー「箱」NEWS【Vol. 366 】2016/6/24

みなさま、こんにちは。

今週は博多から橋口遼がお送り致します。
今回のお話は珍しくフィクションです^^

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 ■ 良心の裏切りの積み重ね : 橋口 遼
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「使途不明金が今のところ、150万円弱です」

朝一番の電話口から聞こえてきた。
相手はクライアントの経理スタッフ。

積み重ねた期間は1年半。

誰に聞いてもわからないクレジット決済の
項目の金額だった。

夕方に今度はLINEで連絡がきた。

「カード会社に問い合わせたところ、わかりました。
全部、◯◯さんが決済してるみたいです」

◯◯さんとはスタッフの名前。

勤めだして10年になる。

僕と知り合ってからも同じくらい。

面接をしたのも僕だったので、僕がその会社に入れたようなものだった。

なるほど、どのみち本人確認が必要だと判断し、
電話をする。

早いうちがいいと思い、その日の深夜に話をする。

クレジット会社から確認がとれているので、単刀直入に聞いた。

「◯◯、この明細の項目に心当たりない?
この購入履歴とか違う?」

乱暴にクレジットの明細のコピーを机においた。
購入の中身はゲームやWEBマネーカード。

カードの不正利用での横領。

スタッフはうつむいたまま、声を震わせ、

「はい。そうです。すみません」

と言った。すかさず

「少しずつでも返していきたいと思います。許してください」

肩を震わせながら、涙ながらに訴えられた。

「そうか」

理由は、購入した商品を転売して現金を得て、
それを生活費に充てていたとのこと。

結婚していて、子どももいる。

なるほど、わからなくもないな。

自分でも驚くほど、冷静だった。
怒りがない。

淡々と今後の流れを説明した。

しっかりとした状況確認が必要だったので、
次の日に明細を照らし合わせながら、
金額の確定をした。

その明細の途中で見つけたものには、
明らかに家族のためという名目ではなく、
自分の欲のため、遊びのために使ったであろうものもあった。

それを追求すると、それも認めた。

「遊ぶお金が欲しかったです」

なるほど、罪の意識が消えていくのだろう。

この時も怒りの感情は湧いてこなかった。

じつは見つかっていた以外にも複数件あり、
率直に金額の合計額が当初の3倍になった。

そのまま司法書士に電話をして、
公正証書の手続きを依頼した。

会社で話し合った結果、刑事事件にはしないことにした。
ただし、奥さんを呼んで一緒に話をした。

事情説明。

奥さんが泣きながらあやまる、

「主人がご迷惑をおかけして、すいませんでした」

隣では子どもたちがわぁわぁと走り回っている。

その足で、公証人役場に出て行った。

しばらくして、

司法書士から手続きが終わったと連絡があった。
本人からもほぼ同時に連絡があった。

その晩、私は家に帰って家族でごはんを食べた。

一連の流れをかいつまんで、奥さんに説明した。

今回の件で如何に自分が振り回されたかという話を
相手を加害者、自分を被害者にして話した。

わかっていたが、とめれなかった。

やっと感情が出てきた。しかし、

ある程度話したあたりで、なぜか涙がでてきた。

とめることができなかった。

‥あいつは果たして僕と出会ってよかったのだろうか?
‥僕と出会わなかれば、今から20年近く借金返済の日々を送らなくて
すんだのはないのだろうか?
‥僕はいったい彼に何ができたのだろうか?

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■ 編集後記
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今回のお話はあくまでフィクションです^^

お読み頂き、ありがとうございました。