The Arbinger Institute

We Change Mindset

□アービンジャー「箱」NEWS【Vol.70】2010/ 8/ 20

こんにちは。名古屋の箱ファシリテーター西田敬一です。
ここ数ヶ月、原稿を書く前に、決まって夫婦で喧嘩をしています。
ファシリテーターとしての話題が豊富になって嬉しい限りですが。(笑)
人生は何でもネタになりますね。

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■  「怒りのキャッチボール」 : 西田敬一
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「敬ちゃん、あと、○○○万円足りないんだけど。もう少しお客さんにちゃんと
営業したら?」

久しぶりにむかついた。
いや、正確には前回のメルマガを書いてから丁度1ヶ月ぶりの怒りだ。
なぜだか、メルマガを書く時に決まってこういう展開になる。

早めに家に帰ってゴロゴロしてたところに、妻からのいきなりの攻撃。
しかも、かなりグサッと突き刺さった。

男がもっとも女に最も言われたくないこと。
それが、「お金」のことと「夜の行為」について。

台所で料理する妻に背を向け、僕は冷蔵庫から缶ビールを取り出し
一気に飲み干した。そして、ドカッと椅子に座り込む。

間もなく、僕の心の中の悪魔がニヤニヤと顔を出してきた。
そいつが僕にこう言ってくる。

「おいおい、無理すんなって。お前も人間だろ。嫁さんの言葉に刺激されて
怒りたくなる時もあるぜー。いいんだぜー、怒っちゃっても。ケッケッケッケッケッケッ。」

僕もその悪魔に魅せられて、だんだん悪い顔つきでニヤニヤし始めた。

「ちゃんと営業したら?」
彼女の言葉が僕の心の中で、何度も再生される。

部屋を見渡せば、いつもよりやけに散らかり具合が目立つ。

「そんなこと言う前に、お前は俺に協力したのか?」

僕の悪魔が怒りの炎にせっせと焚き木をくべる。

今日は朝からアイロンもかけた。
風呂も掃除した。
おまけに早く家にも帰ってきた。

お前ときたら、
掃除もろくにやってねーし、
朝ごはんだって作ってねーし。
よくよく考えたら、お金の流れが悪くなってんのも
お前の会社を作ったからだろ?

「ちゃんと営業したら?」
心の中で何回も繰り返される刺激的な言葉。

勿論、僕は実際には声に出して怒ってはいない。
全てが僕の心の中でのストーリーだ。

それも、僕だけではない。妻も同じようにしていたはずだ。
二人ともが、言葉にならない、しかし極めて卑劣なメッセージを
心の中のバーチャルな世界で言い合っている。
ただ不思議なことに、その感情はリビング全体の空気感へと変わっていく。
氷が張った様なツンツンした静けさが訪れる。

その時、信じられないことが起こった。
僕達夫婦の異変に気付いていた2歳の娘。
いつもなら、すぐに二人に歩み寄って、仲直りをさせようとサインを
送るのだが、その時、彼女がとった行動は信じられないものだった。

「ただいまー。」
それは、丁度、妻の弟が家に帰ってきた時だった。
弟が部屋に入ってくると、いきなり娘が、その弟に向かって悪態をついた。

「こっちゃん、○○君嫌い!もう、あっち行ってよー。絶対に嫌い。」

何が起こったのか?
娘のあまりの狂気に、僕は一瞬困惑した。
いつもあんなに仲の良い二人が、まるで離婚寸前の夫婦のようだ。

何が起こったのか?

そう、これこそが怒りのキャッチボールだ。
怒りのキャッチボールは、だんだん弱いところに向いていく。

僕達夫婦の怒りのキャッチボールが、娘に移り、娘がいつも気軽に遊んでくれる
その弟に、怒りを投げ出したのだ。

娘は、なぜだか、泣きながら弟に「嫌い」だと嗚咽していた。

怒りのキャッチボールは、必ず弱いところに向けられていく。
家族なら、子供にそのサインが現れる。そして、職場なら、最も感受性の高い
強い人が、うつになったり、体調不良を繰り返したりする。

人間関係が崩れている。
つながりを取り戻したい。
そのサインだ。

お互いに自分を正当化しながら、相手へと怒りの矛先を向けていく。
僕達人間は連鎖している生き物だ。
怒りのキャッチボール。その結末が、今の日本で起きている残虐なニュース。
残虐な行為の上辺だけにフォーカスが当たってしまっている。