度重なる企業合併の中で、企業文化を変革し、業績改善した防衛機器メーカー

組織名

レイセオン・ミサイル・システム社

業界

防衛機器製造販売

レイセオン・ミサイル・システム社は陸・海・空軍、宇宙産業などへ防衛機器を販売する製造業者です。アメリカ軍向けに迎撃用大陸間弾道ミサイル等を製造販売しています。
「アービンジャーには素晴らしいサポートをしてもらいました。チームとして団結するのに、根本から変革をもたらしてくれました。結果として、長年溜まっていた課題や問題を全く新しいアプローチで解決できました。まるで魔法のようでした。」

ルイス・フランスコーニ
レイセオン・ミサイル・システム社前CEO

19億ドルから50億ドルへの売上増加

1億ドルのコストカットに成功

200名相当のリストラを阻止

挑戦

1990年代後半、ヒュース・ミサイル・システム(以下、ヒュース社)は経営問題を抱えたジェネラル・ダイナミクス社の買収を終え、新たに傘下に入った8千人を超える従業員を取り込みながらも、内部は混乱していました。ジェネラル・ダイナミクス社は、ヒュース社よりも規模が大きく、とても官僚的な縦割り組織で、傲慢で威圧的な従業員が多く存在していました。買収後、ジェネラル・ダイナミクス社の社員は、経営幹部の多くを引き続き占めており、ヒュース社の社員は肩身の狭い思いをしていました。

1997年、ヒュース社とその従業員は、さらにレイセオン・ミサイル・システム社(以下、レイセオン社)に買収され、社内に戸惑いが広がりました。ヒュース社は、レイセオン社の数多くある中の一部署になりました。これらの3社の統合の結果として、従業員間に不和が生じており、ヒュース社は散り散りになってしまいました。ヒュース社はレイセオン社にすぐに名前を変え、元ヒュース社の経営陣は内部の争いに将来を案じていました。そして、彼らは内部の対立を終わらせ、分断した組織をまとめて、一つに団結した組織として持続的な成長を目指すために解決策を模索し始めます。

ソリューション

レイセオン社の経営陣は約40社のコンサルティングファームに相談し、独自のアプローチを持っていたアービンジャーにその難題解決を任せることにしました。その他のコンサルティング会社はレイセオン社を外部から変える方法を考える中、アービンジャーはレイセオン社が自分たちで課題を解決できるよう、その方向性と方法を示しました。それは、従業員一人一人の努力と貢献によって、部門間の問題を解決する方法であり、組織内に協力関係を生み出し、説明責任能力を高めるプランでした。

まず、アービンジャーはレイセオン社の管理職チームと取り組みをはじめました。その結果は、すぐに効果的な形で現れました。例えば、アービンジャーのサポートが始まってまもなく、ある部門は2か月間で1億ドルのコストカットを要求されました。以前であれは、管理職チームは200名の従業員を解雇することで、0.2億ドルのコストカットを生み出していたでしょう。アービンジャーとの協業の結果、彼らは別のコストカットの方法を模索し、まずは初日で7百万ドルのコストカットを達成しました。その後も、2か月かけて管理職チームはアービンジャーの考え方をベースにコストカットを進めていき、ついに1億ドルのコストカットに成功しました。もちろん、従業員の解雇は行っていません。レイセオン社のCEOは、「まるで魔法のようだった」と感想を話しています。

このような体験は、各人のリーダーシップに影響を与えます。アービンジャーの理論を用いることで、今までに想像できなかったビジネスチャンスが生まれ、その結果、レイセオン社は社内の協力関係を強化し、利益に結び付く結果を生み出すことができました。そして、彼らは12,000人全ての従業員に対してアービンジャーのトレーニングを導入し、組織改革を行いました。

その後、数年間の間で、2,000人を超える従業員が、アービンジャーのコンサルタントおよびアービンジャーの公認社内ファシリテーターの元、トレーニングを受け、実務にその理論を応用しています。これに加えて、アービンジャーのコンサルタントは、管理職チームと月に一度ミーティングを行い、アービンジャーの理論のさらなる理解と実践、現場への応用をサポートしました。

レイセオン社の従業員はアービンジャーの考え方を実行に移したことで、自分たちに与えられた役割を超えた視野を持つようになり、同僚および組織全体のニーズや目標にフォーカスできるようになりました。彼らはトップダウンのアプローチで、組織を改革しましたが、素晴らしい変化を組織内にもたらしました。

結果

レイセオン社は、立場の異なる3社が統合した12,000人超のまとまりのない組織から見事に団結した組織に生まれ変わりました。かつては、怒号、非難、責任転嫁ばかりであった組織が、迅速な意思決定のできる組織に変わりました。12,000人の従業員それぞれがレイセオン社のビジョンを共有し、同じ方向を向いて動き出したときに、組織に変革が起こります。業績に与える影響は大きく、年度売上は19億ドルから50億ドルへ増加しました。アービンジャーなしではこの結果は起こり得なかった、とレイセオン社の役員は述べています。

今日、レイセオン社の同防衛機器事業は、同社グループの中で、高品質の製品を世の中に提供し、最大の売上を誇る部門に成長しています。