□アービンジャー「箱」NEWS【Vol. 181】2012/10/12
みなさん。こんにちは。アービンジャー・ジャパンの橋口遼(はしぐちりょう)です。
先日、社員旅行で熊本県の阿蘇に行ってきました。
季節も秋で、紅葉もチラホラ。
夜は肌寒く、昼は暖かい。
すごしやすい時期ですね。
みなさんの今年の秋はどのように過ごしてますか?
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■ 「りょうちゃん。あの景色を見てどう思う?」 : 橋口 遼
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先日、数年前のささいな出来事を思い出すことがあった。
当時、ボスと二人で町を歩いていた。
足早に歩く人、自転車で通る人、子供と一緒に歩く人。
いつもの町並みで、登場人物は違えど、僕にとってはいつもどおりだった。
ふと、ボスが立ち止まった。
「りょうちゃん。あの景色を見てどう思う?」
「どれですか?」
ボスが方向を示した。
しかし、景色と言われても普通に天気はいいし、
変わらないビルが並んでいるだけで
特にかわりはない。
工事中のビルもないから景色がかわりそうにもない。
「すいません。どの景色ですか?」
「いや、ほら。あの人たちの中で、誰が一番自立してると思う?」
「えっ?!自立ですか?うーん。。」
景色じゃねーじゃん。人かよ。
そう思いながら
そっちの方を見てみると、車を路駐し、おりてきている人。
携帯で話しながら、足早で歩いているビジネスマン。
ヘッドフォンをつけながら歩いている学生。
自動販売機の近くで空き缶を集める人。
人は違えど、よく見かけるような人たちだった。
「うーん。わかんないですねー。あの携帯で話してる人ですか?」
僕は仕事のできそうなビジネスマンをさした。
「なるほどね。俺はねあの人だと思う。あの空き缶集めてる人」
「えっ?!あの人ですか?」
思わず驚きボスの顔を見た。
「うん。俺はいつもホームレスの人たちが空き缶集めてるのをみて、思うんだ。」
「何をですか?」
「実際はわからんけど、あの人たちの方がよっぽど自立してるよねって。」
当時は意味がわからなかった。
先日、タイにいったとき。
屋台でごはんを食べていた。
ちょうどテーブルに食事が届いた頃、
片腕のおじさんが拡張期で歌をうたいながら、
お金を集めていた。
昔でいうナガシだ。
そのおじさんは周りから無視され続けながらも、
変わらずに自分の歌をうたっていた。
食事を終えて、まちを歩いていると、同じ様なナガシがいた。
なかには片足で物乞いをしている子供たちもいた。
餓死者が多いのだろうと、地元のひとに聞いてみたが、
タイでは餓死者が少ないらしい。
一見、多そうなのだが、
みんな生きるために行動をおこすというのだ。
生存本能だろう。
日本では数年前に餓死者がでた。
その人は生活保護がうちきりになり、
「この国では生きていけない」という遺書を遺していたそうだ。
なんにも食べずに、
生きることを放棄し、この国を呪いながら、死んでいったのだろうか?
日本では『生活保護』の不正受給問題で、マスコミが色々騒いではいるが、
実際、生活保護受給者の人は日本で、人並みの生活は送れる。
納税義務もない。むしろ、人によっては納税者よりも実質の生活水準は高くなるらしい。
しかし、この制度のおかげで命を救われた人も多いはず。
かくいう私も母子家庭で、母親は私を育てるために、国から援助をもらっていた。
どっちが自立しているのだろう?
自分で立つ力。
国の援助をもらわずに、空き缶を集めている反社会的な人。
国から援助をもらい、社会性をもって生きている人。
どちらもおそらく未納税者だ。
先日のタイ旅行や、マスコミのニュースのおかげで
ボスの言葉を思い出した。
「りょうちゃん。あの景色を見てどう思う?」
自分の中の答えがみつかりそうだ。
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■ 編集後記
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私は今年『食欲の秋』にしようと思います。
と、嫁に宣言したら
『いつもじゃん』
と言われました。それもそうだなと思い、いろいろ考えてます。
こんな感じで、答えを見つけないまま、私の秋は過ぎていくと思います。