□アービンジャー「箱」NEWS【Vol. 314】2015/6/12
みなさん、こんにちは
梅雨に入りましたが、
この時期、意外と屋外でのスポーツイベントが、多くないでしょうか?
学校、企業、地域の運動会、
夏の本戦出場を決める地区予選会、
プール、海開き前のマリンスポーツ会、
…
先週のたぁ~ちゃん、に続くのは、
月曜日が必ず土方日焼け? している 斎藤みのる です。
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■ 時間がないっ! : 斎藤 みのる
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”これから別の定例打ち合わせがある、
外出中の上司に重要な連絡を直ぐに入れないといけない、
今日は月締めのチェックもある、
派遣スタッフの採用面談、
明日の会議の資料も準備しないといけない、
自分も昼食をたべたい、
家内に頼まれた保健補助の確認、…、
しまった! 全然、夕方の打ち合わせまでに時間がない。”
”そうだっ! 柳さんに、何かお願いしてしまおう!
えっと…、彼女にできそうなことは…、
資料作成の元情報の収集。 これは、過去のファイルを探してもらえば、
できそうだし、あと、僕のお昼を買ってきてもらっちゃお~ぅ。”
私のチームにいる柳さんは、優秀なアシスタントメンバーで、派遣契約の社員です。
「柳さ~ん、すいませんが、この資料の元情報を、フォルダーから探して
集めておいてくれますか?、それと、申し訳ないけど、僕のお昼、
なんでもいいので、買ってきてくれます~っ?」
柳さんは、「はい」と言って、さっと立ちあがり、お昼を買いに、
オフィス内の売店に行き、戻ってから情報の収集作業を始めてくれた。
小一時間後、柳さんから、収集作業終了の知らせをメールで受け取った私は、
早速、収集された情報を見ながら、自席でお昼をとりはじめた。
”う~ん、表面的で直接的な観点での情報は集まっているが、
関連情報や、付加価値としてアピールできる情報は、
ほとんど入っていないなぁ~。 まぁ、しょうがないよな。”
”あれ、これ先週お願いしたときと同じ、ミックスサンドと、
しゃけのおにぎりと、野菜ジュースだよな~。
しょうがないかっ、何でもいい、って言っちゃったんだから…”
私は無表情に、無機質なものを口に詰め込むかのように、
買ってきてもらったサンドイッチとおにぎりを食べながら、
フォルダーを開き、不足している関連情報や、付加価値としてアピール
できる情報を、自分で収集し始めた。
一日の予定を何とかこなし、夜遅い電車の席に座って、ボーっとしながら、
私は忙しかった今日一日のことを、目を細めながら、断片的に思い出していた。
あてにならない部下・同僚のこと、
志向が偏った上司のこと、
ちょっと自分で調べればわかることを、面倒くさがって、
いちいち電話で聞きにくる現場マネージャーのことを。
”どうして、どいつも、こいつも、頼りにならないやつばかりなんだ!”
”なんで、おればっかり、こんなに忙しいんだよぉ~”
あたかも自分がその被害者であるかのごとく、
さらに、自らをあわれに思いかけた時、
(ふっと、我に返って)
”あ~っ、いかん!。また自分が被害者で、忙しさを誇大化している感情に
浸っているじゃないか!”
”そうだ!、自分が変わらなければ、そして、相手のために何かをしてあげたい、
という気持ちがなければ、周りに影響を与えて、変化する可能性は殆どないんだ!
自分が踏み出さなければ、変化はおこらないことを知っているのにぃ…、
またやっているのかぁ~、おれは~っ、はぁ~…”
職場のメンバーのために、上司のために、明日からすぐに、自分ができることはなにか、
疲れた頭ではあったが、目をつぶって、何となくイメージをしながら、電車に揺られていた。
そして、柳さんには、
”今まで、アシスタントとして、よくやってくれているし、もっと
やりがいを感じる仕事、全体感を感じる、少しかたまりの仕事を、明日、
お願いしてみよう。”
そう考えたあと、電車の揺れを心地よく感じ、うとうとと居眠りをしはじめた。
次の瞬間、
”あっ!、乗り過ごしちゃった! うわ~っ、もう上り線、ないよなっ、
どうしよ~ぅ…”
丁度、駅に到着してドアが開いていた電車から、あわてて飛び出し、
暗い駅のホームで立ちすくんで、
”また、やっちゃったぁ~”
更に疲労感が増大した状態で、小雨の中、タクシーを待つ列にならんでいた。
”自分は被害者”、”なさけなさ”の感情は、まるで常態化しているようだった。
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■ 編集後記
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「柳さん、いつも、アシスタントとして、いろいろなサポートをしてくださって、ありがとう!
で今日は、ちよっと新しいことをお願いしたいんです。
毎年行っている上期フォーラムの企画の最初から、私と一緒に入ってもらって、
企画メモの作成や、集客の準備、委託業者との段取りの調整、
そして実際の運営まで、取り仕切ってみてくれませんか?
全体が見える仕事だから、少し大変だけど、おもしろいとおもうんだけどぉ~、
いいですよねっ!」
柳さんは、少し驚いた表情をした後に、急に眉間にしわを寄せながら、
心配そうな表情になった。
そして、私が話し終わると同時に、
”この人は何をいっているんだろう”、というような、半ば呆れた表情に変わり、
「すみません、斎藤さん。 それは社員さんの仕事じゃないですか?
私の立場にそこまで依頼する、というのは、少し違うのではないでしょうか。」
と、私が想像すらしていなかった応えが、返ってきた。
”なぁ~んだ、優秀だと思っていたけど、やはり限界なんだよなっ!
大きな仕事ができた時の達成感、充実感は、最高だし、
もし、失敗したとしても、厳しさを知り、成長できるチャンスなのに……。
それに、あなたのことを思って、せっかく、この仕事の担当者調整を、
隣のマネージャーとしてきてやったのに、それを踏みにじるなんて!、…”
(ふっと、我に返って)
”むむぅっ!?、ああっ! またやってんのかっ、おれは~っ!”
”いままでさんざん、いろいろな要求に応えてきてくれた彼女のことを、
限界だなんて、見下して、
そして、いい上司だと思われたいがために、その見返りの感謝の応えを
要求しているなんてぇ~っ!”
それはつまり、
今まで、柳さんに対して、どのような態度で接してきたのか、
どのようなことを要求してきたのか、
どのように彼女のことをみなし、扱ってきたのか、
それを考えれば、当然の応え、にちがいない。
”柳さん、ごめんなさい。
いままで、同じチームで一緒に仕事をしてくださってありがとう!
今は、その感謝の気持ちを、ただただ、伝えたい!
そして、柳さんが本当にやりたいこと、
日々、気になっていること、困っていること、
どんな些細なことでもいいから、あなたのお話を聴きたい、話してほしい!”
日々是修行。
自分の箱とのつきあいは、まだ、始まったばかりだ。